arc の日記

はてなダイアリーから引っ越してきました。さらに新しい記事は https://junkato.jp/ja/blog/ で書いています。

niconico experiments lain

プログラムは、言語・実装が違ってもアルゴリズムさえ同じであれば同じ機能を持つものをいくつでも作ることができます。

その昔 serial experiments lain という、プレイステーション用のゲームがありました。ゲームといっても、起動するとログイン画面が出てユーザ名を入力させられる、という、むしろOSの一種に近い外観を持っていました。

ログインするとファイルやレイヤー(フォルダのようなもの)があらわれ、その時点で閲覧可能なファイルをどんどん開いていくと、ある女の子の精神科医によるカウンセリング記録や日記が断片的に再生され、開いたファイルとキーワードでリンクするファイルやデコーダ(ファイルを開くためのプログラム)をさらに開けるようになる、というシステムです。ファイルを開けば開くほど、女の子の素性や考えていること、新しい事実が分かってきますが、最終的に女の子の正体がいったい何であるのかはプレイヤーの判断に任される、本当の意味でマルチエンディングなゲームです。 この酔狂なゲームは、一部の人たちの間で、静かに、しかしながら爆発的な人気を誇り、今では serial experiments lain は中古で買おうとしても10000円ほどの高値がつくようなレア物になってしまいました。

ここで冒頭の話に戻ります。serial experiments lain は確かに「プレイステーション用ゲーム」でしたが、適切なプラットフォームを与えてやれば違う場でもゲームとして成り立つのです。そのような試みの一つを紹介します。

タグで動画検索 PS版lain‐ニコニコ動画

ニコニコ動画のアカウントを持っていないとアクセスできません。動画同士をタグ(キーワード)で結んだり、タグに関連する動画を一覧する機能をうまく使って、ニコニコ動画上で serial experiments lain を実現しています。著作権違反なのでいつ消されてもおかしくないですが、無償で遊べ(?)ます。

根暗向きの空気ゲームですが、波長が合っちゃった人はとんでもなく影響を受ける作品なので、日記で紹介しました。とんでもなく影響を受けた人たちが、Linuxベースの新しいOS:lain OSなるものを作ろうとした形跡がネット上に残っています。

なお、serial experiments lain は複数のメディアで配信してより利益をあげよう・ストーリーに深みを与えようとするメディアミックスの先駆的な作品でもあり、ゲームに続いてアニメが放映アニメが放映された直後にゲームが発売されました。アニメのほうも仄暗い色調で内容も鬱屈としており、でも好きな人は好き、という。

serial experiments lain 好きな人は電脳コイルも好きなのかな。ニコニコ動画にアップロードされた動画を観ているとそういった関係がうっすら見えてくる。
ネットそのものを扱ったSFってあんまり多くないんですよね。今作ってるゲームはそのマイノリティの流れを継ぐ作品にしようとしています。